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環境事業開発

研究所だより

宇宙へ行ったササユリ「宙ユリ(そらゆり)」が開花しました

2025-05-30
ササユリは日本の各地で自生していますが、宇宙へ行ったササユリ「宙ユリ(そらゆり)」の種子は当研究所固有のものです。
宙ユリ(そらゆり)は、糸魚川市の美山公園内に植栽してあり、誰でも観察できるようになっています。写真ではまだ満開ではありませんが、今は丁度見頃となっています。

宙ユリの交配母材料は糸魚川市内のササユリ系統です。しかし、糸魚川市産であっても人為的に増やしたものなので自生地への植え戻しは行っていません。あくまで管理された公園内で、最後まで人が管理する形で育成しています。
10年以上前ですが、自生しているササユリの種子を地主さんの許可を得て集めた事があります。出来るだけ自然な繁殖に影響が出ないよう、一株から2輪咲いているものに限り、片方の蒴果から種子を採りました。種子から増殖してみると、小集団になっているほとんどの地域で、球根に奇形が生じたり生育不良を起こしたりしました。これらは近親交配が原因のひとつと推測しています。実際にそれらの系統間で遠縁同士の交配を行うと、健全な球根が出来ます。
研究所内では地域ごとに系統を分け出来る限り維持していますが、近親交配と思われる影響が観察された現地(採種地)では現在、ササユリが消失してしまった地域が何箇所かあります。というか、以前はササユリが確認された多くの地域でササユリが確認されなくなってきています。

植栽されているササユリを観察すると、埼玉県では絶滅危惧Ⅱ類となっているホソクビナガハムシが飛来していました。厄介者扱いされがちな昆虫ですが、これを捕食する生物もいますし、希少な野生生物がこうして生き延びる礎にもなっています。他の生物の餌となり、関わり合って生物多様性が維持されています。
人為的に作られた展示用の区画ですが、ある程度成功していると言えるのでは?と感じています。



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