研究所だより
今年も絶滅種タモトユリが咲きました
2025-07-17
ハウス内では今年も順調にタモトユリが開花しました。
学名が「最も高貴なユリ」という意味のタモトユリは、その姿もさることながらユリの中でも際立って上品でかぐわしい香りのするユリです。ユリ独特の癖のあるにおいが無く、まさに高貴なユリと言う名にふさわしい香りがします。
以前にも紹介しましたが、こちらは「絶滅種」です。
自生では一度絶滅しており、過去に園芸用として流通していた球根を先代の研究員が入手し保存、維持しています。
私の代になってからは、収集家からの譲渡もあり、これも保存、維持しています。これらの交配も行い、次世代を作出しています。
残念ながら、Web上に残された過去の新聞記事によりますと、当時流通していたタモトユリは原種と姿が少し異なる、と書かれており、流通品は他のユリと交雑していた可能性があるようです。この点は留意しなければなりません。
ただし、もし他のユリと交雑していても、遺伝的に保存に値しないという訳ではありません。
牧野富太郎植物図鑑に示されたタモトユリの特徴を全て残しており、更に、1970年発行の「日本のユリ」に掲載されているタモトユリ画像とも酷似しています。以上の点から、表現型としてはタモトユリの特徴を色濃く残していると言えます。
特に特徴的なのは、つぼみの先にある、とげ状の突起です。これは他のユリにはない特徴です。画像を添付いたしましたのでご覧ください。
こちらは雑種なのか原種なのかは定かではありません。しかし、何かの血が混ざっているからといって、無価値になる訳ではありません。現状の姿は「タモトユリらしさ」を引き継いでおり、元の原種の姿を後世に伝えられる大切な遺伝資源と言えます。技術的にも将来、育種技術によってよりタモトユリの原種に近い系統を作出できる可能性もあり、保存する事は決して無駄ではないと言えます。

