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環境事業開発

研究所だより

ササユリの「実」が出来ました

2025-08-19
今年も圃場では、順調にササユリが育ち、「実」をつけました。厳密には実ではなく、蒴果(さくか・さっか)と呼ばれるものです。構造は実と同じく、中に種子が入っています。
知らない人は知らないササユリの姿です。ちょっと珍しいかも知れません。この蒴果の部分が熟すと割れ、風で揺さぶられる事で種子を飛ばします。種子は軽く、これでけっこう広い範囲に蒔かれるようです。

以前にも書きましたが、ササユリは熟した種をまいても通常なかなか芽を出しません。そこでこの、まだ蒴果が青い状態で種を採ります。そのままでは上手く育ちませんので、バイオの力()で無菌的に育成します。そうする事で種子の休眠状態を打破し、すぐ発芽してくれます。

すると、沢山の芽が出る中、ごくわずかですが、少し奇形のものや、成長不良のものが現れる事があります。スタッフがこれを不安がり、「青いうちに種を採るからおかしなものが出来ているのではないか?」と質問してきた事があります。非常に良い視点だと感じました。
この発芽処理を行った物と行わなかった物を比較すると、その後の成長に差が現れません。この段階で既に胚は十分に成長していて、処理で胚が傷つく等の問題もありません。ではなぜ時折奇形が見られるのでしょうか?
この処理を行うと、通常10~30%の発芽率のものが、70~90%にまで上昇します。自然界では発芽すら出来ずに死に絶えてしまうものまで発芽出来、さらに無菌状態で栄養を十分に与えられるので、自然界では発芽後に淘汰される個体でも生育出来ます。発芽処理を行う事で奇形が発生したのではなく、自然界ではすぐ死に絶えてしまう奇形も生き残れる環境になっている訳です。
人が人為的に奇形にしたのではなく、先天的に問題のある種子でも順調に生育できる環境にしたから、というのがおそらくは正解かと思われます。

しかし、「科学的にはこちらであろう。」と思い込まず、決めつけずにフラットな視線で常に観察しないといけないな、とスタッフの不安を聞いて思い直しました。常に疑いながら実験作業を行うのは重要です。
結果を見ると、奇形や成長不良個体を取り除くと概ね健全な個体が成熟種子と同様かそれ以上に採れており、無菌播種なので順調に健全な個体が増えていきます。「青いうちに種を採っても、結果的にはおかしなものは出来ていない」のが現状です。
疑ってみましたが、大丈夫かなと思いました。



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